「ハイドリヒを撃て!ナチの野獣暗殺作戦」
第二次大戦中期、チェコはドイツに占領され、ユダヤ人の大量虐殺が進められていた。指導していたのはナチスのナンバースリーと言われたラインハルト・ハイドリヒ。彼を暗殺するため二人の男が送り込まれた。という史実に基づいた物語で、とにかく、クライマックスの銃撃戦のシーンが大迫力で緊迫感溢れる。作品全体はこれというほど優れた出来栄えではないものの、見せてくれる映画でした。監督はショーン・エリスです。
ヤンとヨゼフの二人のスパイがパラシュートでチェコに降り立つところから映画が始まる。そして地元のレジスタンスの力を借りて、ハインリヒ暗殺計画を進める。この展開が前半部分となる。協力者の中に女性二人がいて、ヤンたちとの淡い恋物語が紡がれるものの、ここは非常に中途半端に終わる。
そして計画が実行されるが、ふとしたハプニングで完全に成し遂げられずヤンたちは逃亡。しかし重症を負ったハインリヒは病院で死んでしまい、ナチスが血の報復を始める。
無差別に殺される市民たちを見ながら、ヤンたちは教会の地下に隠れる。しかし仲間の密告でドイツ軍が襲って来る。こうして教会での銃撃戦がクライマックスとなるが、このシーンに優に30分取っているためかなりの見応えのある展開になっている。
しかし、一人また一人と死んで行き、最後は突入してきたドイツ兵の前で自決して全員が果てる。
史実とはいえ、エンタメ性も十分に取り込んだ作りになっていて、映画としても楽しめる。逆にいえば、ドラマ性が十分に描かれていないために、作品自体に厚みがないのは少し残念ですが、退屈せず見れる一本でした。
「ブランカとギター弾き」
カメラ映像を丁寧に利用した画面作りがとっても好感な作品で、スラム街を描いているけれどもいかにもな汚れ具合を前面に出した演出がなされていないにがとっても心地よい作品でした。監督は日本人で長谷井宏紀という人です。
マニラのスラム街で盗みを繰り返しながら生活する孤児のブランカ。しかし、事あるごとに寂しさを感じていた。
そんなある時、街頭のテレビで、大人が女の人を金で買うという出来事を見る。そして、母親もお金で買えるのだろうと考える。たまたま、広場でギターを弾きながら生活する盲目の浮浪者ピーターと知り合ったブランカは、ピーターからお金を稼ぐということを知り、大きな街に出ようと誘う。
ところが乗せてもらったトラックに途中で降ろされ金を取られた二人はその町のスラム街で稼ぎ始めるが、二人の歌を聞いたレストランのオーナーの誘われ、店で歌うことになる。
しかし、そこの従業員に妬まれ、泥棒の容疑をかけられ追い出されまた浮浪生活へ戻る。
そんなブランカに人買いの女が近づく。しかし、危ないところで助けられ、一時はブランカは孤児院へ入ることを決意、ピーターと別れるが、やはり恋しくなったブランカはピーターのところに戻ってエンディング。
カメラレンズの特性や色使いにもこだわった映像作りが実に美しいし、ブランカの笑顔も素敵。ただ、親切なオカマや悪ガキ大将の少年二人のエピソードなど脇役の使い方が今ひとつ物足りなくて、せっかくいい味が出そうなのに生きてこないのが残念。
ピーターの存在をもう少しうまく使えばとっても素敵な物語になりそうなのですが、そこも物足りないままに終わった感じなのは脚本の練り足りなさかもしれないですね。
でも、素直ないい映画だった気がします。