「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「島々清しゃ」「マノン」「ジェラシー・ゲーム」

kurawan2017-01-25

「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」
テレビのスペシャルドラマ以下のものを映画館で見せるなといいたくなるような作品で、演出というものがなされていず、ただ役者の演技に任せるだけの映像に気分が悪くなってしまいました。監督は新藤風です。

わずかな音の狂いもたまらなく不快になる少女うみを主人公に沖縄の島で繰り広げられるヒューマンドラマ。ですが、カメラも平凡、安藤サクラやでんでんなど個性派俳優を起用しているのに、演じるままで何の演出も見られず、子供達の演奏シーンもただカメラを向けているだけ。

何を描きたいのか視点が見えない脚本の弱さも重なって、スペシャルドラマ以下に仕上がった感じです。見なければ良かった。


「マノン」
これは良かった。一人の女性みつこを通じて描かれる男と女の情念の物語ですが、軽いタッチの音楽とさりげない展開のリズムで描かれるオーバーラップする人間模様が実に美しい。主演の烏丸せつこの裸体も映画に色を添える展開になって、素敵な作品に仕上がっていました。監督は東陽一、彼の最高傑作と呼ばれる一本です。

劇団のレッスンシーンから映画が幕を開け、主人公みつこが現在同棲している演出家との話に始まり、バイト先でバニーガールをしている彼女に近づいた一人の中年男性の物語に流れて、いけ好かない兄貴の登場から、その日暮らしの学生との関係へと展開する様が見事で、見ていて、どんどん次の展開に引き込まれてしまいました。

ラストは中年男性が兄貴という男に殺され、学生とみつこが電車で何処かへ向かう場面でエンディング。

洒落た映像と、軽いリズム感、そして、深い男と女の物語が、洒落たラブストーリーのようであり、そうではないかもしれないあやふやさが逆に切なさを生み出していきます。
本当にいい映画でした。


「ジェラシー・ゲーム」
ちょっと洒落たラブゲーム映画なのですが、ラストが残酷に終わらせたために、ちょっとなぁという映画で締めくくられました。監督は東陽一です。

結婚十年目になるするが夫婦はちょっとした行き違いを正すために北海道へバイクでやってきた。そこで一組の若いカップルと知り合い、お互いに女性通し入れ替わって奇妙な旅が始まるというロードムービーである。

なにかにつけSEXシーンが挿入され、大信田礼子高橋ひとみの裸体が惜しげもなくスクリーンに展開、それだけでもドキドキする映画である。

結局、入れ替わったままにSEXを繰り返して旅を続け、札幌の宿泊のホテルで夫は待つが、やってきたのは若いカップルの方の女で、しかもニュースで若いカップルの男性と熟年夫婦の妻が事故で亡くなったと出る。

一人バイクで走り去る熟年夫婦の夫の姿でエンディング。

途中、何度か男が妄想するシーンもあるので、このラストも夢だったかと予想させるが、結局現実というエンディングはちょっと辛い。

面白い展開と、自由奔放なSEXシーンがとっても健康的でありしかもちょっとエロティックであるのが楽しい映画で、ラストも普通に元の木阿弥で終わっても良かった気がするのですが、奇をてらったというのが逆効果だったように思います。

でもいい映画でした。楽しかったです。