「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アンタッチャブル」「夜に生きる」

kurawan2017-05-24

アンタッチャブル
初めて見たときはとにかく面白いという印象だけが心に残ったが、今回久しぶりに見直して、これほどきめ細かく書かれた脚本だったかと改めて感心してしまいました。監督はブライアン・デ・パルマです。

オープニングのタイトルバックからどんどん引き込まれます
名匠エンニオ・モリコーネのテンポ良い曲から物語は禁酒法時代のシカゴへ
この導入部のうまさがこの作品の素晴らしさですが、そこから、エリオット・ネスが精鋭三人を集め、アル・カポネの息の根を止めるべく活動して行く様はみごとです。

畳み掛けるような展開と仲間が次々と殺されクライマックスの駅の階段シーン。ご存知「戦艦ポチョムキン」のオデッサの階段シーンの模倣ですが、何度見ても面白い。ヒッチコックタッチが融合した映像作りはまさにパルマの力量発揮です。

この後のエピローグは最初に見たときもちょっとしつこいと思いましたが、今回も印象が同じでした。しかし、その欠点を覆い隠すほどに全体の出来栄えが素晴らしい。やはり名作と言える映画の一本ですね。


夜に生きる
作品としてはなかなかの一本
一人のギャングの生き様をドラマティックに描いたクオリティの高い作品でした。監督はベン・アフレックです。

一人の男がベッドに横たわっている。顔を怪我しているが、その経緯を語り始めて映画が始まる。警察幹部の父をもつ主人公のジョーは父に反発し、姑息な強盗などを繰り返していたが、ふとしたところで一人の女エマと出会う。一目惚れした彼だが実はエマは巨大組織のボスホワイトの娼婦だった。

二人の恋仲はどんどん熱を増して行くのだが、ホワイトの対立組織のボスがジョーに目をつけ、仲間に引き入れてくる。

そして、エマとジョーの仲も知られるところととなり、エマは殺され、ジョーはすんでのところで助かる。

持ち前の度胸でどんどん成長して行くジョーは、一人の黒人のグラシエラと知り合い結婚する。

物語は彼のドラマと彼に関わる周辺の人物との物語として展開するが、絡んでくるフィギス本部長とその娘ロレッタの物語、さらにホワイトとの確執からのボスの裏切りと殺戮などがもう少し整理してポイントを絞ればもっとスッキリした人間ドラマになった気がします。若干てんこ盛り過ぎたきらいがあり、やや散漫になったのは残念。

エマが生きていたという展開も絡み、ラストはフィギス長官の乱心でグラシエラも命を落とし、ロレッタも自殺するしと波乱の人生ドラマになって終焉となる。

画面作りの美しさや、丁寧なカメラワークがなかなか目を惹く作品で、映画としては非常にレベルの高い出来栄えになっています。ちょっとした佳作といううイメージの一本でした。