「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ザ・ダンサー」「昼顔」(上戸彩主演版)

kurawan2017-06-13

「ザ・ダンサー」
モダンダンスの先駆者と言われるロイ・フラーの半生を描いた作品で、とにかく美しいのはそのダンスシーンである。もちろん実話なので、実際ああいったものだったのだろうが、カメラは真正面から素の状態でじっと捉える。まるで蝶が舞い、花が開くように踊るシーンがとても美しい。このシーンを見ただけでもこの作品を見た甲斐があるというシーンです。監督はステファニー・ディ・ジュースト。

アメリカの片田舎で父と暮らす主人公のロイは父の死によってかねてからの夢の女優を目指そうとする。そして、幕間で演じたダンスシーンが観客の話題になり、次第にダンスに魅了され、自ら振り付けなどを編み出していくが、アメリカでは自分の作品であるという特許が取れない。

そこで、彼女のパトロンでもあり、女好きのルイの金を拝借して、特許が認められるフランスへ渡る。そして、次第に認められた彼女は、次々と話題をさらっていくが、彼女のダンスは非常に体に負担をかけるもので、体力的にもまた視力にも影響を与え始める

彼女を追ってきたルイに心の支えを求める彼女は、パリ・オペラ座での舞台が現実になってくる。そんなおり、アメリカからイサドラ・ダンカンがやってきて彼女に近づく。

イサドラの才能を見抜いたロイは彼女と共演をすることを進めていくが、オペラ座の公演直前にイサドラはアメリカに帰ってしまう。落胆したロイは自暴自棄になるものの、捨て身の力でオペラ座の舞台へ。大量の電球で輝く彼女だったが、ダンスが佳境になったところで、電気がショートしてしまう。しかし、観客は彼女に賞賛の拍手を送る。

特に秀でた演出が見られるわけではないものの、主演したソーコの熱演もあり、非常にストレートな人間ドラマとして描かれているのが実に良い。ライバルイサドラ・ダンカン役のリリー=ローズ・デップはジョニー・デップの娘だが、今ひとつそれほどの存在感は見せてこないのはちょっと残念。さらにルイ伯爵が妙に気品にかけるのもちょっと映画の質を落としている気もするが、全体にそれなりの仕上がりになった立派な映画だと思います。見る価値十分な一本でした。


「昼顔」(上戸彩主演版)
上戸彩を見にいっただけなので映画のできはどうでもよかったのですが、これが意外としっかりと作られていた。脚本が良いのである。誰かと思えが井上由美子だった。なるほど納得である。監督はテレビ版同様西谷弘である。

紗和と裕一郎の不倫物語が終焉して三年が経つ。紗和は夫と離婚し、海辺の街で一人暮らしをしていたが、ある日近くでホタルの公演にやってくる北野裕一郎の名前をチラシで見つける。高鳴る気持ちを抑えて公演を見にいった紗和だが、裕一郎が紗和の姿を見つけてしまう。

お互い、声を交わすことも禁じるという取り決めで別れたのだが、再会したことによる再燃はとどまることを知らず、ホタルの生育する川で密会を始める。この、言葉のない逢瀬がなんともピュアで美しく、ワクワクして物語に引き込んでくれる。この脚本の組み立てのうまさは絶品。

やがて、裕一郎の妻乃里子の知るところとなる。紗和の勤め始めた海辺の食堂の人たちとの軽いエピソードを挟みながら、裕一郎と紗和の同居生活、離婚の同意への展開など、ストーリー展開のうまさはさすがである。しかも、職人芸のような西谷弘監督のさりげない演出も光る。

やがて、小さな疑惑のエピソードを克服して物語は幸せな終焉へと進むところだが、この辺りから何気なくラストが見えてきて、理解したはずの乃里子は裕一郎を紗和のもとに連れていく車を突然スピードを上げ、事故。自分は助かるが、裕一郎は死んでしまう。祭りの場面で待つ紗和のカットとよくあるラストに終焉。

自暴自棄になる紗和のお腹には裕一郎の子供がいて、カットは子供達がホタルの川で遊ぶシーン。裕一郎が紗和に渡す予定のマリッジリングを計測箱に隠していたのを子供が見つけてエンディング。

終盤が若干くどいが、上戸彩を見せる場面であるからあれで良いと思う。思ってるほどの駄作ではなかったのは一安心。大ヒットの予感である。