「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「GANTZ: PERFECT ANSWER」

前作があまりにも期待を裏切られたためにがっかりしていたこの作品であるが、この後半部分は普通のアクション映画に仕上げられていてそれなりに楽しむことが出来ました。というか、原作を読んでいるものとして、未だ完結していない物語をどういう風に終わら…

映画感想「まほろ駅前多田便利軒」

直木賞を取った三浦しをんの原作を元に「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」などの奇才大森立嗣(なんと麿赤兒の息子)が監督をした作品。前作を見逃しているし、デビュー作の「ゲルマニウムの夜」も見ていないので作風は良く知らないが、なんともさめた映像…

映画感想「M・A・S・H」

以前見たときはちょっと条件が悪くて見づらかったので今回改めて見ることができたのはラッキーでした。ロバート・アルトマン監督ならではの風刺コメディ炸裂の傑作であることを再認識してしまいました。 冒頭、さりげなくフレームインするヘリコプター、背後…

映画感想「天井桟敷の人々」

私のような若輩物ではなく、映画の黎明期からしっかりとごらんになっている名だたる映画評論家の面々が戦後外国映画のベストワンに必ず選ぶのがこの作品。ということで過去に何度か見たのですが、何度見てもどこをどう評価するのかわからないままに再度今回…

映画感想「孫文の義士団」

香港で空前の大ヒット、先日のアジアン映画祭でも先行上映されたアクション超大作「孫文の義士団」を見た。 期待通りの抜群の面白さと本物の超大作であった。しかも、次々とその義士たちが死んでいくたびに涙が流れてくる。それぞれの人物の生き方の背景が実…

映画感想「イップマン 葉問 序章」

ブルース・リーの師匠として有名な実在の武闘家イップマン(葉問)の半生をつづった作品で、昨年見た「イップマン葉問」の前半部分である。物語は武闘街と呼ばれる中国佛山から物語が始まる。地元の武闘家の間からも信頼され羨望されている葉問は地元の名士…

映画感想「笛吹川」「名もなく貧しく美しく」

「笛吹川」 1960年木下恵介監督作品。 極彩色の襖絵のような美しいタイトルが終わると、なんと画面はモノクローム、にもかかわらず、カメラの眼に色を施したフィルターをかけたのか、空だけがブルーだったり、地面だけがグリーンだったり、燃える屋敷が…

映画感想「ディーバ」

ジャン・ジャック・ベネックスのデビュー作です。 本当にすばらしい作品でした。画面に配置する色使いといい、流麗なカメラワークといい、まさに品のよい芸術的な一品。それでいて、しっかりとユーモアのセンスも持ち合わせ、さらにドキドキさせる娯楽性も兼…

映画感想「キラー・インサイド・ミー」

何とも不思議なムードのある映画である。凶暴な殺人鬼を主人公にした物語なのだが、何とものどかな風景描写、テンポのよいカントリーウェスタンをバックミュージックにした軽快なストーリー展開、しかも登場人物もどこか紳士的で人を疑うという者が見られな…

映画感想「ひき逃げ」「永遠の人」「妻として女として」

「ひき逃げ」 成瀬巳喜男監督作品としてはかなり実験てきな異質の作品に見える。もちろん一定のレベルの作品であるが、他の名作と評価されている作品から比べると少し質が落ちるといえなくもない。それでも一級品ですけどね。主人公の感情が高ぶったシーンで…

映画感想「エンジェル・ウォーズ」「ザ・ライトーエクソシストの真実

「エンジェル・ウォーズ」 ザック・スナイダーが描くSFアクション。当然、所狭しと展開する3D映像が最大の見せ場である。映画が始まるとスローモーションの画面と映像にマッチングした音楽で物語の前提が語られていく。突然、死んでしまった大富豪の母親…

映画感想「あらくれ」「ビー・デビル」

「あらくれ」 成瀬巳喜男監督作品、この映画はまさに傑作でした。背後に流す音楽、効果音が実に見事。尺八の音、オルガンの音、そのほかあらゆる町中の調べが何とも詩的な風情を画面に生み出して、何ともいえない格調の高さを生み出してくれます。物語はひと…

映画感想「細雪」(阿部豊監督)

谷崎潤一郎の「細雪」の最初の映画化作品、この作品にふれたことで、映画化された三本の「細雪」を制覇いたしました。 監督は阿部豊という人で、私は残念ながらあまり知識がありません。調べてみたところ当時の日本映画でたくさん監督をされている職人監督の…

映画感想「無法松の一生」「女が階段を上る時」

「無法松の一生」 稲垣浩監督が自らリメイクし、ベネチア映画祭でグランプリを取った名作である。 なんといっても、色彩が抜群に美しい。そして花火や風船、屋台、古い町並み、芝居小屋、など様式美にこだわった映像づくりが抜群にすばらしい。前作の阪妻版…

映画感想「イリュージョニスト」「神々と男たち」

「イリュージニスト」 落ち着いた色彩で美しい画面を作り出し、一遍の詩のような感覚で描かれた淡い恋物語のようなファンタジーアニメでした。 それは、日本アニメのテクニカルな完成度やディズニーアニメの夢あふれる映像世界とはちょっと異なった独特の世…

映画感想「昨日消えた男」「新・平家物語 義仲をめぐる三人の女」

「昨日消えた男」 マキノ正博監督が1941年に製作したサスペンス時代劇の傑作。謎を解いていくおもしろさもさることながら、軽妙なせりふと映像のリズムでぽんぽんと展開していく軽やかな演出が見事な一本でした。映画が始まると登場人物が丁寧に紹介され…

映画感想「朝の波紋」

高峰秀子が英語を堪能にしゃべる商社のキャリアウーマンを演じたラブコメディ。監督は五所平之助監督である。物語はたわいのないもので、取引のトラブルやら、間借りしている家の同居人の少年の犬の話やら、さらにはライバル商社の営業マンと親しくなるわ、…

映画感想「女の園」「妻の心」

「女の園」 木下恵介監督の社会ドラマと呼べる一本である。 規律が非常に厳しい京都の正倫女子大学を舞台に、学生時代からつきあっていた下田という青年との恋を反対され、親の勧める結婚から逃げるために大学に入った主人公芳江(高峰秀子)の苦悩を中心に…

映画感想「鳥」

いわずとしれたアルフレッド・ヒッチコックの代表作の一本。午前10時の映画祭の大スクリーンで見直すことができたのが一番うれしいです。 ティッピー・ヘドレンの後ろ、学校の校庭のジャングルジムに枯らすがいつの間にかいっぱいになるショット、ガソリン…

映画感想「SOMEWHERE」「アメイジング・グレイス」

「SOMEWHERE」 ソフィア・コッポラ監督久しぶりの作品は、何とも見事な完成度を備えた美しい、そして心に訴えかけてくる傑作でした。主人公ジョニーは有名な俳優で、毎日を分刻みで生活をしている。彼にはレオナという別れた妻とその妻との間にクレ…

映画感想「綴方教室」

高峰秀子が14歳の時に出演、荒川の川沿いの貧乏長屋に住む豊田正子という少女がつづった作文を原作にした物語である。日常の風景が実に叙情豊かに描かれていき、貧乏ながらその日暮らしを一生懸命いきる家族の物語が純粋で素直な少女の目を通して語られて…

映画感想「三百六十五夜」「二十四の瞳」「銀座カンカン娘」

「三百六十五夜」 若き日の市川崑監督のいわゆる珍品映画である。 次々と、思いつくままに展開していくストーリーのいい加減さに仕舞には笑いさえでてきてしまう、いかにも即興的な展開が楽しい。物語は高峯秀子扮する成金の令嬢蘭子が、想いを寄せる男性小…

映画感想「レベッカ」

ヒッチコックが大プロデューサーデヴィッド・O・セルズニックに呼ばれて制作した大作。しかもアカデミー賞に輝いた名作とされているが、私はヒッチコック映画の中では一番ヒッチコック的ではないし、一番嫌いな作品である。理由は、格調が高すぎるのです。…

映画感想「津軽百年食堂」「ファンタスティックMr.FOX」

「津軽百年食堂」 様々な人の評価はありますが、私は大森一樹監督の演出感性は見事なものだと思う。 物語はたわいのないものであるし、平凡な監督が演出すれば平凡な映画になるだろう。しかし、彼が作るとなぜか心に訴える不思議なリズムが備わってくる。だ…

映画感想「雁」「愛の戯れ」「馬」

「雁」 豊田四郎ならではの映像美術の世界を堪能する秀作。原作が森鴎外であるから、当然、文芸ものである。木村威夫の美術セットの美しさと豊田四郎ならではの影を利用した美しいショットが随所にみられ、かなわない恋に揺れる主人公お玉(高峯秀子)の物語…

映画感想「或る夜の殿様」

何と戦後まもなく1946年製作の作品。監督は衣笠貞之助、脚本は黒澤明作品でおなじみの小国英雄。と聞くと、期待十分、そして期待通りの傑作でした。物語は明治の中頃、箱根の旅館に集まった当時の成金、由緒或る商人、さらには国の役人などが鉄道の利権…

映画感想「婚前特急」

今注目の吉高由里子さん主演で期待していた作品だったのですが、なんとも切れの悪い演出にうんざりした一本でした。とにかく、一つ一つのシーンがやたらくどい。物語全体の展開にリズム感がなくてだらだらとストーリーが進んでいく。しかも、吉高由里子ちゃ…