「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「ミッドナイト・イン・パリ」「サニー永遠の仲間たち」「ミ

「ミッドナイト・イン・パリ」 これほど知的でシャレた映画を作れるのは今やウディ・アレンしかいないなと思います。私のような貧相な教養ではついていけないところもありますが、この映画本当によかった。画面に映されるパリの町並みがまず美しい。そしてそ…

映画感想「曉の脱走」「独立機関銃隊未だ射撃中」「やま猫作戦」

「曉の脱走」 黒澤明、谷口千吉が脚本を書いた反戦映画の名作、という解説であるが、何のことはない非常に丁寧にに描かれたアクション映画である。日本軍の描き方中国軍の描き方それぞれが何のこだわりもなく平等に描かれている。三上の上官でさえ、春美に手…

映画感想「MY HOUSE」「不良少年」「潮騒」

「MY HOUSE」 堤幸彦が商業映画を離れてモノクロームで都会の日常を切り取った作品を作った。こういう映画が作りたかったというキャッチフレーズで宣伝されていたが、本当にそうなのか?と思える一本でした。東京の町並みがややシンメトリーなショッ…

映画感想「馬鹿と鋏」「男対男」「乱菊物語」

「馬鹿と鋏」 三人の詐欺師が繰り広げるたわいのないコメディ映画です。政治家の利権問題、新空港建設に伴う土地取引などなど、当時の日本の世相がところ狭しと登場するあたりはまさに高度経済成長期の日本そのもの。話の展開は特に抜きんでるほどのものはな…

映画感想「本日休診」

井伏鱒二の原作を元に渋谷実が監督をした傑作群像劇である。原作があるとはいえ、次から次と間髪を入れずに展開する事件、また事件。渋谷実お得意のスラップスティックなコミカルな演出と、ユーモア満点のせりふの応酬は職人芸というよりも天才的なムードが…

映画感想「吹けよ春風」

黒澤明が脚本に参加した一本で東京フィルムセンター所蔵の貴重フィルムだったので、今回の谷口千吉特集の目玉の一本として出かけました。心温まるハートフルな物語ですが、時に黒澤明らしいダイナミックなシーンも取り入れられる。しかも、次々と登場する名…

映画感想「ウィークエンド」「オレンジと太陽」

「ウィークエンド」 ジャン・リュック・ゴダール監督作品であるから、例によってあって、ぶっきらぼうな物語はあるようでないようなストーリーとして展開する。特に、この作品で物語映画からの脱皮といっているくらいだからよけいにシュールな映像があふれる…

映画感想「さあ帰ろう、ペダルをこいで」「黄色いからす」「極秘指令

「さあ帰ろう ペダルをこいで」 とってもハートフルなヒューマンドラマの秀作に出会いました。しかも、作風はコミカルで軽いタッチなのに埋め込まれたメッセージは非常に重い。しっかりとしたストーリー構成と、ぶれない展開に一見、平凡な感動作なのに心に…

映画感想「黒帯三国志」「嵐の中の男」

「黒帯三国志」 今や、ほとんど扱われなくなった柔道家を扱った痛快アクション映画。ボクシングとの対決や空手家との対決、恋い物語、たこ部屋での重労働、やくざとの戦いなどなどこれでもかというほどの見せ場の連続で、最後まで全く飽きさせないおもしろさ…

映画感想「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「遥かなる男」

「ファミリー・ツリー」 歓声を上げながらパワーボートを操る女性のシーンからいちなりタイトル。主人公、マット・キングの妻エリザベスがパワーボートの事故で昏睡状態に。先祖からの広大な土地の処分に翻弄しているマットに10歳のスコッティと17歳のア…

映画感想「ジャコ萬と鉄」「銀嶺の果て」「33号車應答なし」

「ジャコ萬と鉄」 谷口千吉と黒澤明が脚本を書き、谷口千吉が監督をした傑作で、のちに高倉健主演で深作欣二がリメイクをしているほどの作品です。全編、これこそ黒澤明というにおいがプンプンする男くさいドラマでした。 北海道のニシンの猟場を預かる九兵…

映画感想「フェイシズ」「貞子3D」

「フェイシズ」 最近のミラ・ジョヴォヴィッチはこの手の映画ばかりでている気がします。今回は人の顔が判別できなくなるという相貌失認という症状になってしまったサスペンス映画である。主人公アンナはある日、友人との飲み会の帰り道、ちまたを騒がせてい…

映画感想「母のおもかげ」「もず」「歌麿をめぐる五人の女」

「母のおもかげ」 清水宏監督の名編。解説通りとっても暖かい、見事な名作でした。右に左にゆっくりとカメラがパンニングを繰り返し、主人公道夫少年の心の揺らめきを見事に表現していく。さらに園子がつれてくる娘エミ子が道夫と好対象に無邪気で、素直で、…

映画感想「恋と愛の測り方」「レンタネコ」「ポテチ」

「恋と愛の測り方」 ちょっと個性的な演出が光る佳作でした。もっと単純なラブストーリーかと思っていたので、なかなか凝った演出に終始引き込まれる映画でした。タイトルが終わると、主人公ジョアンナ(キーナ・ナイトレイ)と夫マイケル(サム・ワーシント…

映画感想「ロボット」「女ばかりの夜」

「ロボット」 そのはちゃめちゃな展開が話題のインド映画です。オリジナルは3時間を超えるらしいですが、海外版は二時間半に短縮。たぶんダンスシーンが大幅にカットされたのでしょうが、映画ファンとしてはちょっと残念。でも期待の一本 を見てきました。…

映画感想『駅前旅館」「喜劇 駅前団地」「赤坂の姉妹 夜の肌」

「駅前旅館」 井伏鱒二の原作を豊田四郎が演出をしたシリーズ第一弾。 脚本が八住利雄、森繁久彌、淡島千景と豊田四郎ワールドの世界である。上野の駅前の旅館を舞台に繰り広げられるどたばた喜劇ですが、出演者がフランキー堺、伴淳三郎なども含め個性派俳…

映画感想「幸せの教室」

トム・ハンクスが脚本、監督をした作品です。ジョージ・クルーニー、クリント・イーストウッド、などなどアメリカの俳優さんの映画はなんと言うか映画のつぼを心得ている方も多いので期待半分、興味半分で見に行きました。出だしからジェームズ・ニュートン…

映画感想「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』『夫婦善哉」

「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」 香港映画というのは一種独特の地位を確立した感じでとっても好きです。今回はひさしぶりに監督復帰したツイ・ハーク作品を見てきました。得意のワイヤーアクションと今時のCGをふんだんに使った壮大なスペク…

映画感想「早春」「テイク・シェルター」

「早春」 二時間を超える大作で、しかも物語は昭和30年代のサラリーマンの姿を淡々と描くだけのたわいのないお話である。にもかかわらず、全く退屈しない。これが小津安二郎の神髄である。小津安二郎といえばフィックスで構えたカメラでローアングルでとら…

映画感想「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」「孤島の

「ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン」 アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされているし、全米大ヒットのコメディということでかなり期待していったが、し過ぎた期待を完全に裏切られた感じの映画だった。確かに、下品なギャグの連続とせりふの…

映画感想「自由学校」(渋谷実監督)「チャッカリ夫人とウッカリ夫人

「自由学校」 笑いの大傑作。ポンポンと弾むように展開される物語、シーン展開、せりふの応酬に画面の中に引き込まれてしまいます。 ホームコメディなのですが、どこか現実離れし、舞台劇を見ているようなおもしろさも随所に盛り込まれている。その軽快感が…

映画感想「鰯雲」「女の一生(淡島千景)」

「鰯雲」 成瀬巳喜男監督が初めてカラーに臨んだ作品で、叙情あふれる田園風景の映像がとっても美しい一遍。 昔ながらの地主として農業を営む中村雁治郎扮する和助の姿、一方で和助の妹で嫁いだものの戦争で夫を亡くし未亡人となった淡島千景扮する八重の姿…

映画感想「宇宙兄弟」

とっても軽いタッチで描いていく好感度抜群の青春ストーリーでした。一昔前の日本映画ならくどくどと語られるような物語を実にそっけなく、あっさりと描いていく。現代的といえばそれまでですが、そのさりげなさがかえって主人公の二人のドラマを純粋に捉え…

映画感想「1000年刻みの日時計 牧野村物語」「ニッポン国古屋敷

「1000年刻みの日時計 牧野村物語」 ドキュメンタリー映画の名作として知名度の高い一本ということなので、映画ファンとしてみておくべきかと思い見に行きました。山間の牧野村に13年間生活した監督の小川伸介がその集大成として撮りあげたフィルムを…

映画感想「わが母の記」「僕等がいた 後篇」

「わが母の記」 世界に大手を振って持っていって、そして自慢できる日本映画の名編、それがこの「わが母の記」です。すばらしかった。涙が止まらなくて、何度も何度もハンカチで拭って、ラストシーンでは椅子を揺らすほどに嗚咽がとまらない。この感動はいっ…

映画感想「ル・アーヴルの靴みがき」「モンスターズクラブ」

「ル・アーヴルの靴みがき」 だから映画は楽しい。そんな言葉がぴったり当てはまる珠玉の人生賛歌、それがこの「ル・アーヴルの靴みがき」という映画だと思います。五年ぶりのアキ・カウリスマキ監督作品で、とにかく劇場が混んでいて、昨日は多すぎてあきら…

映画感想「HOME 愛しの座敷わらし」「裏切りのサーカス」

「HOME 愛しの座敷わらし」 カメラワークがとってもやさしい。ゆっくりゆっくり高橋家の姿を捉えていきます。しかも、山間の村の田園風景などのショットが抜群に美しい。まるで写真家がワンショットでとらえた季節の一ページのごとくはっとするような画…