2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧
「ハンナ・アーレント」 非常に高尚というか、教養のいるハイレベルな内容の作品でした。物語の主人公、ハンナ・アーレントという人物自体にほとんど知識がない上に、その描かれている1960年代の時代背景、そして、ナチスによるユダヤ人迫害に対する人々…
「ミッドナイト・ガイズ」 見た人の評判がとってもいいので、期待して見に行きましたが、なるほど、とっても素敵なナイスな秀作でした。 監督はフィッシャー・スティーブンスという人です。朝焼けの美しい景色と町並みが画面いっぱいに広がり、カメラが引く…
「沙羅の門」 こういういい映画を見るとうれしくなってくる。素直に、心に訴えかけてくる名作でした。琵琶湖畔の禅宗の寺の広い建物内部の空間を有効に利用し、ふすまの間々から人が出入りする様を見事にとらえていく映像づくりのうまさと、一方で京都の下宿…
「暗くなるまでこの恋を」 ご存じ、フランソワ・トリュフォー監督のラブミステリードラマである。ヒッチコック敬愛者でもあるトリュフォーらしく、ヒッチコック映画のオマージのようなシーンや設定が随所に見られる。ジャン・ポール・ベルモンド演じるルイが…
「THE ICEMAN 氷の処刑人」 主人公ククリンスキーのアップから映画が始まる。物語は1964年にさかのぼる。ちょっと切れると冷酷にも殺人を犯すシリアルキラーの性格を持つククリンスキー、彼の異常なほどの殺人暦を細かいカットで挿入して行く導入部は実…
深夜ドラマ版の[SPEC」のファンでもあり、堤幸彦監督ごひいきでもあるので、仕方なく劇場版に足を運んでいる。前回で終わったのかと思ったが、まだ完結篇があるらしく、しかも前後篇。今回の前篇は[SPEC」を知るものでさえも、あまりにも、一本で…
「ジャッカルの日」 死ぬまでにスクリーンで見たかった映画の一本。ご存じ、ドゴール大統領暗殺を描いた、フレッド・ジンネマン監督の名作。脚本はあの「ブラザー・サン・シスター・ムーン」「ブラック・サンデー」のケネス・ロスである。テレビでしか見たこ…
「男性飼育法」 1959年という製作年の世相を皮肉った軽いタッチの喜劇である。豊田四郎監督作品ではあるが、文芸映画に見せるような目を奪うような演出は施されていない。ただひたすらに、土地取引に浮かれる人々、金儲けに走る世の男たち、妙な研究に没…
「サプライズ」 宣伝から受ける印象では、かなり斬新なホラー映画だと期待していたけれども、なんの、ふつうのホラー映画だった。というか、映画スレしてしまったファンにとってはそれほど珍しい展開でもない。監督はアダム・ウィンガードという人である。映…
「ある愛へと続く旅」 映画友達の間では、ちょっと評価が高いので、見に行ったが、本当に、なかなかみごとな秀作だった。音と、映像の調和が抜群にすばらしいのが全体の印象である。監督はセルジオ・カステリットである。ブルーと赤の船の甲板を真上から見下…
「マラヴィータ」 なかなかおもしろかった。久しぶりに、リュック・ベッソン監督の個性的な映像リズムを楽しむことができました。映画が始まると、とある家族が映され、玄関の呼び鈴に主人が出ていって、のぞき窓をみるといきなり銃で撃たれる。そして、家族…
昨日みた「ブッダ・マウンテン」が、思いの外よかったので、その前作であるこの作品を見に行った。 なるほど、こちらもそこそこのレベルの作品であるし、リー・ユー監督の才能が伺える佳作でした。手持ちカメラを多用した映像と、細かい編集を繰り返すカット…
「コールド・ウォー 香港警察二つの正義」 香港映画というのは本当におもしろいなと改めて感じる。決して芸術を追究しない姿勢の潔さが、何とも楽しいのだが、それでいて、退屈ということがない。最初のタイトルバックで、大勢の人物が紹介される。それも、…
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海」 前作が、それなりにスピーディでおもしろかったのだが、今回はひどい。才能のない監督が3D映画を撮るとこうなるという典型的な作品だった。とにかく、物語に全くテンポがない。3D映像らしい部分があ…
「セイフヘイヴン」 いやぁ、この映画はよかった。ニコラス・スパークス原作のラブストーリーの中で、一番サスペンスフルな物語だと思います。いや、もしかしたら脚本に起こす段階で、そういう組立にしたのかもしれません。ストーリーの中にちりばめられた伏…
「ルームメイト」 結局、この手のサスペンス・ホラーミステリーの映画の原点は、ヒッチコックに行き着くということを証明したような作品でした。監督は古澤健である。麗子が行くいかがわしい店「ARIADONE」の扉の前には、「めまい」のタイトルバック…
「ばしゃ馬さんトとビッグマウス」 大好きな麻生久美子主演のラブコメディということで、かなり期待したし、友人の感想も抜群だったので、わくわく感で見に行ったが、ちょっとまどろこしすぎるストーリー構成と、ちょっと平凡すぎるせりふの連続、そして、背…
「雨月物語」 戦国の世の中の、人の生き様のものの哀れを、百姓の兄弟を通じて描く夢幻の世界。溝口健二監督の代表作であり、日本映画史に残る名作を、40年ぶりくらいでスクリーンで見直すことができた。すばらしい。宮川一夫のカメラの美しさはいうまでも…
「セブン・サイコパス」 ちょっとおもしろそうで期待して見に行ったのですが、確かにアイデアや、ストーリーの組立は不可思議で楽しいのですが、いつまでたってもリズムに乗ってこない為に、いつのまにか、ただ、めちゃくちゃなだけなの?とさえ感じ的始める…
「西鶴一代女」 溝口健二監督の最高傑作と言われる作品を、30数年ぶりに見直しました。最初に見たときの印象は、よかったという程度でしたが、さすがに、今見ると、そのすごさに圧倒されます。ワンシーンワンカットの長回しのカメラが、ただ、漫然と撮影し…
「女優須磨子の恋」 女優松井須磨子と島村抱月の恋物語を中心に描く。さすがに、田中絹代の熱演がとにかく目を引く。ストーリーは単純であるが、随所に、溝口健二ならではのワンシーンワンカットを挿入し、田中絹代の鬼気迫る演技をしっかりと見せる演出が、…
さすがに、これだけの傑作になると、細かい部分を指摘して、ああだこうだと言えない迫力がある。まるで、スクリーンにどっかりとあぐらを組んで、さぁ、見なさいと言わんばかりである。見たのは高校生の時で、その時でも、すばらしい映画だと思ったが、こう…
「グランド・イリュージョン」 宣伝フィルムをみていたときから、かなりおもしろいかという予感がしていたが、期待通りのおもしろさだった。ただ、悪く言うと、それ以上ではなかったのである。監督は、娯楽作品で名を馳せているルイ・レテリエであるが、彼の…