二度と作れない映画というのが映画史の中にはあります。
まず、豪華キャストの集結した作品。特にハリウッド全盛時代などは、大作は、手の届かないような大スターを惜しげもなくそろえて作品を作りました。「風と共に去りぬ」などがそうでしょう。
次は、天才的な監督の手腕による作品。これは誰もまねが出来ないのでどうにもなりません。ヒッチコック映画が典型ですね。
そして、破格の費用をかけた超大作。特に社会主義国などは国がお金をだして、採算を度外視して作ります。
これが今回のソビエト版「戦争と平和」です。
正直圧倒されます。四部構成で全編七時間五分という長尺映画です。
しかし、演出がしっかりしていて、飽きさせません。しかもものすごい物量で圧倒されます。
第三部などは一時間三十分、全編、戦場シーンです。しかも、二十万人近いエキストラ、完全に再現された兵器。カメラは延々と移動撮影しますが、どこまで移動しても人や馬があふれ、しかもワンカットです。その移動の中でも、細かく演出されているので、いかに時間をかけたかが、伝わってきます。
俯瞰のシーンも有りますが、かなり上空からのシーンでも、地平線の彼方まで、戦場が広がっています。
もう、「ロードオブザリング」の戦闘シーンなどちゃちに見えます。それほどのスケールと見事な演出なのです。
戦場シーンだけでなく、貴族達の舞踏シーンも見応えがあります。どの調度品も本物の迫力。社交界がまるで本物が目の前に広がっているような錯覚さえ覚えるほどの素晴らしいシーン。
さらに、お金だけでなく、描く登場人物への演出も細やかになされていて、いかに時間をかけて作ったかが伺えます。
原作の登場人物は400人以上といわれ、学生時代に呼んだ覚えがありますが、ほとんど覚えていない補での膨大な作品です。
それを見事にまとめています。
アカデミー賞外国語映画賞に輝く名作です。
いやあ、素晴らしいものを見せてもらいました。