「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「クライシス・オブ・アメリカ」

ジョナサン・デミ監督、デンゼル・ワシントン主演となればこれは見ないわけにも行きません。しかもあの名作「影なき狙撃者」のリメイク版ともなれば興味津々。
ということで本日見てきました。

期待通りのできばえに感心と感動。
ちょうどアップを使ったジョナサン・デミ監督の演出もなかなかおもしろいのですが、デンゼル・ワシントンの演技が素晴らしい。さらに脇役リーヴ・シュウレイバーが非常にいい味を出していて、性悪に見えるメリル・ストリープを引き立てながらも自身の存在感をしっかりと打ち出す名演です。

物語はその原因となる戦争をオリジナル版の朝鮮戦争から湾岸戦争に移し(まあ、どの戦争でもいいのですよね)主人公たちがその戦場で戦闘するシーンから描きます。
いきなりの銃撃戦とそして物語の発端となる空白の三日間が被さったところで一気に時代は現代へ・・・

スピーディに本編に入ったようですが、正直この冒頭部分の湾岸戦争でのシーンにかぶるタイトルバックがやたら長い。・・とわたしはおもいました。もっと、完結にしてもいいんじゃないかと思いますが。そんな不満は本編にはいると一気に忘れさせてくれます。

副大統領候補となるべく画策するメリル・ストリープ、そしてリーヴ・シュレイバーの親子。どこかうさんくさいメリル・ストリープの正体はラスト近くで明らかになってくるのですが、あくまで脇に寄せた演出と彼女の演技は素晴らしい。

デンゼル・ワシントンが一つ一つ謎を解いていく下りのおもしろさはもちろんですが、それよりもラスト・・果たして彼はどういう結末を見るのか?宣伝文句にある洗脳は説けているのか?いや彼の洗脳は行われていたのか、ぐいぐいと見せるラストの15分はまさに映画の醍醐味でした。

難をいうともう少しジョン・ヴォイトをたてていきませんか?もっと出演場面と活躍を入れても作品に影響しないと思いますがもったいないですね。
それに、デンゼル・ワシントンの周りを包むFBI捜査官たちの描き方が寂しいですね。

本筋に徹底的に力を入れたジョナサン・デミの力量に感服です。是非オリジナル版を見てみたい。