ロシアで驚異的なヒットをしたというキャッチフレーズで日本上陸したダークファンタジー「ナイト・ウォッチ」を見たのですが、何とも言いようのない作品でした。
「マトリックス」と「ブレイド」を取り混ぜたような映画でしたと、誰かが評していたのですが、全くそのとおり。登場人物の設定などが非常に「マトリックス」に似ています。モーフィアスのようなボスまで登場するのですから、これは明らかにパクリでしょうか?
そして、敵は吸血鬼なので、これはもう「ブレイド」の世界。
冒頭の映画会社のタイトルバックからして「サーチライトピクチュアーズ」として、20thFOXのタイトルそのままに音楽が流れるのだから、かなり意識しての作品づくりであることが伺えます。
さて、独特の映像感覚という話題性について、確かにCG映像を駆使した摩訶不思議なグロテスクさはなかなか見所満点です。最初から最後まで見せ場ばっかりと言うところでしょうか。
まず、遠い過去に起こった光と闇の戦いのエピソードに始まって、主人公が光の番人「無いと・ウォッチ」になる下りが描かれます。この異種軍団が黒いサングラスをしているところは「マトリックス」そのまんま。しかも、主人公は未来を予知できる能力がある。
様々なところに登場する残像現象を思わせるCG演出は独特といえば独特ですが、私は妙に鼻について気分が悪かったですね。
アクションシーンはさすがに「マトリックス」に遠く及びませんが、細かいカットの積み重ねで盛り上げていく下りはなかなか楽しい。
物語全体を見ると、メインのエピソードである”災いを呼ぶ女”の正体があまりにも素っ気なさ過ぎて、これはちょっと脚本ミスでしょうか?一方で、吸血鬼に見込まれて誘われる少年のエピソードが物語の大半を占めていて、どれもこれもどっちつかずになって、全体に散漫に仕上がってしまったという感じですね。
決して退屈な映画ではないのですが、飛び抜けて斬新な作品と言うほどでもないのではないでしょうか。でも、今、ロシアの映画もこういった作品を生みだしているのだなぁと感心してしまいました。