ご存じ大ヒット映画「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」の続編。
この夏、最大の期待作とされている映画ですね。
とにかく、おもしろいです。なんと言ってもこの映画の魅力は、主人公ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)の魅力に尽きます。
海賊王のヒーローであるにもかかわらず、ヒーロー像にありがちな人徳の高さや、腕っ節の強さ、鮮やかな判断力と知性、というものは全く出てきません。少なくとも表立っては出てこない。
部下思いで身を挺して守る姿もなければ、的確な判断で危機を切り抜けるようなシーンもない。ピンチになると親友さえも放り出して逃げてみたり、適当な判断で部下を危険な目に遭わせてしまったり、あっさりと敵に捕まって危機一髪になったりする。しかし、そんなキャラクターを演じられるのはジョニー・デップしかあり得ませんね。
とにかく、憎めない、というより、一度出会うと忘れられないような主人公を作り上げたジョニー・デップの存在感には何ともいいようのないすばらしさがあります。この映画の魅力はそれに尽きるのです。
物語は前作から少し時間が経って、善作のお話が一段落しているところから始まります。いきなり冒険のまっただ中へはいるというわけでもなく、今回の題目である「デッドマンズ・チェスト」のいきさつをかいつまんで説明してから冒険物語が始まります。
あとはもう、例によって、ジャック・スパロウに翻弄されつつ、オーランド・ブルームやキーラ・ナイトレイほかのいつものメンバーが右往左往しながら危機を乗り越えていく様を描く。それも、みんな自分のことは自分で切り抜けないとヒーローのジャック・スパロウは助けてくれないからこれまた楽しい。
でもでも、最後の最後できっちりヒーローになるから良いのですけどね。
なにせ、脚本が非常に丁寧に作られているので、一つ一つのエピソードやほんの些細なシーンがちゃんと最後まで生きてくるから見事。最たるものは犬のシーン。冒頭で島に取り残されて原住民に追われるところで物語は次の場面に移るのですが、ちゃんと最後にはこのエピソードさえも生きている。エンドクレジットを最後まで見たらわかりますよ。
そんなわけで、第三作への伏線で終わる今回の第2作目。手放しで楽しめるから最高でしたね。