クリストファー・リーブがスーパーマンを演じてからほぼ30年のときが流れた。もちろんシリーズが途切れた最大の原因は主演のクリストファー・リーブの事故によるところが大きいのだが、やはりクリストファー・リーブ=スーパーマンのイメージが固まりすぎたことによるのも大きい。
ということでようやくシリーズ再開ということになった。すでに特撮が格段に進んでCG映像も多様化され、迫力のあるシーンも次々と出てくる。しかし、まず最初に私は最初のクレジットでジョン・ウィリアムスのテーマ曲が流れてきたところで涙が出てしまった。しかも、タイトルの出し方までオリジナル版に似せているのだから、やはり、クリストファー・リーブを知るものにとってはたまらないのである。
物語は宿敵レックス・ルーサーが出獄し、一方でクリプトン星を探しに突然行方不明になっていたスーパーマンが戻ってくるところから始まる。まさにリターンズなのだ。
少々物語りに矛盾があるのは前回のシリーズでもたくさん見られたのであえて気にしないで見ることができる。
ブライアン・シンガーの演出はかつてのリチャード・ドナーとは打って変わってかなり個性的なカメラアングルで入っていく。全米からクリストファー・リーブ似の俳優を探しただけあって、今回のスーパーマン、ブランソン・ラウスはさすがにそっくりである。でもよく見るとクリストファー・リーブよりかわいらしい。目がパッチリしているのが原因なのだろうか、ちょっとひ弱に見えないこともないですがいかがでしょう。
例によって、いくつかの活躍シーンがはいって、レックス・ルーサーの計画を阻止するというクライマックスを迎えるのですが、なんと、大陸そのものを持ち上げるのだから、荒唐無稽なラストである。考えてみれば前作「スーパーマン」もラストは地球の自転を逆回転させて時間を逆行させるなんていうラストだったから、たいしたことないかな。
しかもスーパーマンの息子も登場し、シリーズ化を予感させないこともないが、これはまた別の話という感じである。
とにかく、エンドクレジットにも「クリストファー・リーブ夫妻にささげる」なんていう文字も入るから、ここでも涙してしまいました。
全体には前作と同様のできばえで、特に秀でたところもありませんが、「スーパーマン」というイメージは見事に再現されたと思います。期待はずれでも期待以上でもない、楽しめる作品でした