「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「トンマッコルへようこそ」

トンマッコルへようこそ

韓国映画のファンタジーというのは非常に珍しいのだそうである。つまり、韓国ではファンタジーがヒットしないためだ。
ところが、この「トンマッコルへようこそ」は本国でも大ヒットした。

確かに一般的に考えられるような純然たるファンタジーに見えないところもある。どこかリアルなところもないわけではない。
理想郷トンマッコルでのシーンは本当にファンタジックで、手榴弾で爆発した納屋からトウモロコシがはぜて、雪のように舞い落ちるシーンは本当に美しい。さらに、村を守るために蝶が舞い上がったり、スローモーションを多用した映像はまさに夢の世界なのです。

しかし、後半クライマックスの戦闘シーンは妙にリアルである。韓国映画の特徴として、たいていの韓国映画の戦闘シーンが非常にまじめに描いている。まだまだ北との確執や緊張が完全に拭われていないためかもしれませんね。

まぁ、そんなお国柄はともかくも、映画全体のリズムの中ではちょっと長いように思わなくもない。
このあたりは導入部で人民軍と韓国軍、連合軍の諍いが結構長引くのもその感覚のなせる技かもしれません。

とはいっても、この「トンマッコルへようこそ」は本当に美しい映画でした。反戦映画としての常道的な場面が続出するとはいえ、これはこれで踏んでいかなければいけない展開ではないかとも思うし、その基本的なシーンをいかに見せるかが、こうした反戦映画の見せ所だと思うからです。

山の奥地にある理想郷へと入り込んでいく冒頭部の自然なこと。そして、理想郷で滞在することになるいきさつの無理のない展開。そして中盤から後半、そしてクライマックスへの展開のうまさ。全くだれないところはこの映画の見所です。

CGを効果的に入れて、スローモーションでぼかして、さらにリアリティで味付けした独特の韓国ファンタジー。見終わった後の充実感はすばらしかった