「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「007カジノロワイヤル」

007カジノロワイヤル

久しぶりに007の映画を劇場で見ました。
「カジノロワイヤル」は宣伝フィルムを見て、なかなかおもしろそうだったことと、新ジェームズ・ボンドダニエル・クレイグが結構話題になっていたからである。

物語はジェームズ・ボンドが00の称号を得る直前から、その直後の設定になっているということであったが、前半の部分でMが言うせりふ「・・・冷戦の頃ならこうではなかったのに・・」というのはおかしい。

というのも、007のシリーズの当初の仮想敵国は明らかに旧ソビエトであり、共産圏であったはずなのだ。つまり、「007ドクター・ノウ」等が発表された時点で、すでに冷戦のまっただ中なのである。そして、すでに00の称号を持ったジェームズ・ボンドが活躍するのであるから、00の称号をもらった直後にすでに冷戦が終わっているのはおかしいのではないでしょうか?

と、いきなり、そんなつっこみを見つけてしまった。まぁ、今までのシリーズでの活躍をする前の物語であれば、携帯電話があること自体もおかしいのですが、それはまぁおおめに見るとしても、先ほどのセリフはちょっと失敗ではないでしょうかね。

そんなことに引っかかりながらも、冒頭シーンでモロカを建築現場で追うシーンは圧巻である。肉体の限界にチャレンジしたような超人的な身のこなしで次々とアクロバットのように逃げていく犯人をこれまた、超人的に追いかけるジェームズ・ボンド、まさにカーアクションを人間の追跡シーンに置き換えたような迫力なのだ。とにかく息をのんで食い入ってしまいました。

あとはもう、お得意のお色気シーンとアクションシーンが交互に登場するという007映画でしたが、ここでちょっと??なのです。

そもそも007シリーズのおもしろさはその新兵器の奇抜さ。まるで東宝特撮映画を思わせるようなにやりとする隠し道具が登場し、相手の悪人も今回のテロリストというような小物ではなく、世界征服をたくらむ悪の秘密結社のような組織なのに、今回の物語にそんな華やかさが全くない。

たしかに、CGを極力抑えた本物のアクションシーンはすばらしい。けれども、007はまず子供たちもわくわくするお話でないといけませんね。冒険物語でないといけません。どこか、スパイにあこがれさせるようなグッズがなければいけません。

ここで、私は「バットマンビギンズ」を思い出してしまいました。あの作品もヒーローがヒーローになる前日談を描いていますが、こちらは本当にしっかりとした物語で本筋へとつながるように作られていました。

ところが、この「007カジノロワイヤル」はちょっとまじめすぎる。
確かになぜ、ボンドカーにアストンマーティンがでることになったか、なぜドライマティニを飲むようになったかなどの謎解きはありますが、007の組織の姿が見えません。Mの存在を最初から登場させるし、新兵器を毎回作り出すQ(だったかな)がでてこないですね。

本当に映画はおもしろいのですが、ただのアクション映画になっていて、ようするに「ダイハード」のジェームズ・ボンドがでただけになっているのですよ。ちょっと、もう一工夫ほしかった。