「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「キサラギ」

キサラギ

花より男子」の見事に役柄を吸収し、主演の二人を完全に飲み込むほどの魅力的なキャラクターを演じた小栗旬
その演技力をみて以来、すっかり彼のファンになり、この「キサラギ」も彼の主演映画と言うことで、思い切りの期待で見に行きました。

この「キサラギ」という映画、一人のアイドル如月ミキが謎の自殺をし、その一周忌の日にファン5人が集まるところから物語が始まります。
ファンを呼び集めたのが主人公である小栗旬

こうして集まったオタク的な5人が閉ざされた物置のような部屋で繰り広げる、まるでヒッチコックの「ロープ」を思わせるような閉鎖空間の中で起こるミステリータッチのお話。なんとも演技派人が集まってしのぎを削るお話が展開していきます。

5人というのは塚地武雅、ユースケサンタマリア、小出恵介香川照之小栗旬の5人。何とも、どの一人が主演でもおかしくないほどの実力俳優ばかり。しかも、所々にはめ込まれる即興的なユーモアと、次々と二転三転する謎解きはなんとも、みごと。

ただのファンの集まりから、それぞれの参加者の個性を描写しながら、実は如月ミキの自殺は他殺だったという展開へ、そして、その伏線として、ファン5人が関わってきた彼女とのいきさつ。そして、彼女との本当の関係、等々様々な模様がこれでもかと表現されてきます。

練り込まれた脚本。ユースケの役名がオダユージ、しかも、思い切り推理はするし、「事件は現場で・・」の名せりふはでるし、それにつっこみを入れる小出のセリフも良い。
突然下痢になり、トイレに行ったりきたりする塚地の存在、なぜかカチューシャを持っている香川の伏線。すべてが、計算され尽くされたシチュエーション。

ドタバタの展開の中での推理はきっちりと筋が通っていたりするあたりは「相棒」の脚本も書いている古沢良太のうまさである。
そして、物語の進行役として存在する小栗旬、さすがに蜷川幸夫の舞台で常連だけあってのしっかりとした演技で、他の個性派俳優たちに決して隠れてしまわない。

そして、最後の最後まで如月ミキの姿を表に出さず、ラストのエンドクレジットで一気に登場させるという、遊びに満ちた演出もこれまたみごと。

さらにその後にもうワンカットまで用意するという周到ぶりに拍手してしまいました。まあ、最後のだめ押しはしつこかったと言えばしつこいのですが。