降旗康男監督の久しぶりの映画「憑神」をみる
かなり期待していました。何せカメラ撮影は巨匠木村大作、ときたら素晴らしい作品にならないはずはないのですが、はっきりいって、時代劇のできない俳優達が寄り集まった学芸会のような作品でした。
たしかに、降旗康男監督の映像世界は、うなるものがあります。
クライマックスの五重塔を斜めに取るシーン、さりげない、川べりのそば屋のシーンなど、計算され尽くされた構図と、カット割りはまさに職人芸です。
しかしながら、そうした超一級のシーンが時折みられるにもかかわらず、俳優達の力不足があまりにも目に付くのです。
主演の妻夫木聡の中途半端な演技、神様として登場する西田敏行、赤井英和などの芸不足、名優香川照之さえもが、本領を発揮していない。
物語にいたっては、思い切りコミカルになりきれず、といって、ラストシーンの胸を打つ展開ももう一つ盛り上がりに欠ける。
スタッフもキャストもバラバラなとりつくところのない映画に仕上がっていました。
巨匠降旗康男監督の弱体化なのか、俳優達が、原作の味を理解し切れていないのか?あまりにも無惨。
木村大作の撮影のすばらしさは、唯一の見所といえます。