宣伝フィルムの頃から、主演の天才少女サラカを演じる谷村美月の何ともいわれない色気につられて見に行った。
劇場内は私一人、つまり、全然ヒットしていないのですが。
天才少女が宇宙を創る、その舞台設定の中で青春ラブストーリーが展開していくという異色の原作の映画化。製作は私の大ファンの角川春樹なのだから、期待しないわけに行かない。しかも、SFジョイナブル的な物語は「時をかける少女」を筆頭に大好きなジャンルなのです。
原作を読んでいないので何ともいえませんが、とにかく破天荒でつっこみどころ満載の展開で、一歩間違うとただのどたばた劇で終始してしまい、退屈そのものの映画になるところですが、二時間以上もある作品にも関わらず、最後までまじめに見ていられるのは三池崇史監督の演出手腕といわざるを得ません。
物語は一人の天才少女が巨大加速器「むげん」の設計と完成に参加する一方で、日本の大学の理系学部に転入してくるところから始まります。一方で、適当そのものの大学生と、双子でこれまた今時の少年との物語が、はちゃめちゃながらどこか一本筋の通った展開で進んでいくのです。
もちろん、シーンそれぞれが、「そんなばかな・・」と苦笑しかねないところもありますし、ゼミでの宇宙の創生の話はさすがに、女の子などは苦手分野の展開で、ここで、観客の半分が引いてしまうことでしょう。
でも、最後の最後まで見て、そりゃあ確かにばかげたラストなのですが、ひたすら感情移入してしまう中で、最後のエピローグまでみれば、本当に切なくも甘酸っぱい青春ラブストーリーに仕上がっていることに気が付きます。
天才であるが故に祭り上げられ、たたき落とされさらし者にされた少女サラカ、そんな彼女に惚れているわけでもないが、守りたくなっていく周辺の少年達、そんな、どこにでもありそうな学生生活が壮大そのものの背景で語られていく作品。
評価がどうでるかはともかくも、私はこの映画が大好きです。早速原作を読みたいと思います