「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「クララ・シューマン愛の協奏曲」

クララ・シューマン

クラッシックにはほとんど無知な私でもシューマンブラームスの名前くらいは教科書で見たことがある。とはいえ、曲なんぞ聴いてもどれがどれかさっぱり。そんな偉大な作曲家に寄り添った一人の女性クララ・シューマンの物語を見てきました。

監督はブラームスの末裔らしいヘルマ・サンダース=ブラームスという女性監督。ドイツでかなり前から映画監督をなさってきているのでまったくの素人いうわけではありません。

非常に落ち着いた演出で実話に若干のフィクションを交えて演出していきます。時にカメラをじっくり構えたワンシーンワンカットなどを取り入れていますが、全体にこれといって特筆するほどの秀逸したシーンには気がつきませんでした。

夫であるロベルト・シューマン、若き天才で売り出し中のブラームス、そして主人公クララ・シューマンそれぞれの個性が描かれているようで物足りない。そして、物語の展開の中心がいまひとつポイントが集まっていないのはちょっと残念ですね。脚本の弱さかもしれません。

二人の男性に愛され、ひたすらつくす一方で微妙な恋心にも揺れる一人の女性の姿を描かんとするも、あるときはブラームスにあるときは夫ロベルト・シューマンにとちょっと、散漫になりがちな演出が見られました。いずれ劣らぬ偉人なので、監督する側も難しいと思いますが、思い切って、一人に集約したほうが、テーマがはっきりしたのではないでしょうか。
ひとつには演技力のあるそれぞれの演技陣の実力が伯仲したためにいずれ劣らぬ存在感が見え隠れした結果かもしれません。

とはいえ、ロベルト・シューマンが精神的な病に崩れ始め、薬におぼれていくさまやブラームスとのつながりなど芸術史の一面を知る機会を得ただけでもこの映画は見た価値があったと思います。