「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「Dr.パルナサスの鏡」

Dr.パルナサスの鏡

テリー・ギリアムの不思議ワールドが爆発した見事な映像世界でした。ヒース・レジャーが途中で急死、彼の未撮影シーンをジョニー・デップコリン・ファレルジュード・ロウが引き継いで完成したいわく付き作品である。

物語は得体の知れない見せ物一座の馬車がロンドンの町へやってくるところから始まります。この一座、座長という雰囲気のパルナサス博士が案内する鏡の世界にはいると、そのはいった人の欲望の世界、本当の世界、希望の世界が妄想のように再現されるという。それが本当かどうかは我々観客のみぞ知るであるが、その妄想の世界のイマジネーションが何ともオリジナリティあふれる見事なギリアムの世界なのである。

このパルナサス博士、実は1000歳で、不死の僧侶であったが、一人の女性に出会い、若さを得て彼女と結婚するために悪魔と取引をし娘が16歳になったときに悪魔に娘を差し出さないといけない契約を交わしてしまう。その期限が迫る中、なんとか彼女を助けるため、そして彼女の平凡な生活という夢を叶えるためにヒース・レジャー扮するトニーが奔走する物語である。

全体に、どこかフェリーニの「道」を思わせるようなファンタジックな世界で、リアリティとも非現実ともいいようのない境界線の物語が一種独特の夢の世界を作り出していく。
「モンキオー・パイソン」「バロン」などで爆発したテリー・ギリアムの世界を久しぶりに退官できたおもしろさでそれだけでも値打ちの一本でした。

ラストシーンのどっかじんとくるエンディング、それに続くエンドタイトルの後の音の演出など最後までこだわったテリー・ギリアムの力のいれようはなんともギリアムらしくていいです。
ただ、ヒース・レジャーの死後、ちょっと、無理に完成させた感のある脚本は全体にやや散漫になってまとまっていない部分も気にしもあらずかもしれませんが、それはそれとしても十分楽しめる作品でした