「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「シルビアのいる街で」

シルビアのいる街で

話題作であるが、なんと関西では七芸でした上映されない。
物語はほとんどない。主人公が町にで人間観察をする様子が延々とスクリーンに映される。そして、出会ったシルビアという女性の後を付け、ベッドインし、また町にでて観察をするという展開。正直、退屈でしんどいし、かなり眠かった。
オフィシャルサイトによると、主人公は6年前に知り合った女性シルビアを街で見かけて追うというお話で、究極のラブストーリーであるとしているが、それらのシーンを寝ていたのかほとんど記憶がないのが事実なのです。現実にセリフがほとんどないので、物語をつなげない。

映画が始まり静かなタイトルが終わるととある部屋で一人の男がベッドの上に座ってなにやら書き物をしている。そこへ「部屋を掃除しますか?」というハウスキーパーの声で、ゆっくりと町にでる男。

映像は非常に美しい。じっと据えたカメラのフレームの中に次々と人々がフレームインしてはフレームアウトする。自転車を乗った人、買い物かごを持った女性、つえを突いた老夫婦などが、美しく切り取られた町の一角に入ってはでていく。明らかに演出によってフレームインフレームアウトしている。そして雑踏の音やがやがやが音楽のように画面を装飾していく様は見事である。

そんな景色にフレームインしてくる先ほどの男。何せせりふというせりふはほとんどないのです。
彼はとあるオープンカフェに座りそこにいる女性たちに視線を向けます。そしてスケッチのように人たちをノートにデッサンする。そして「シルビアのいる町で」とメモをする。

また、ショーウィンドウに映る人、人、それが入れ替わり立ち替わり様々な表情と行動を映し出す。奥のウィンドウのガラスと重なったりして、まるでモダンアートのように見えるときもある。ポスターが映り込んだり、鏡の役目を果たしたりと、様々な映像が展開する。

そして一人の女性に視線が集まり、その女性が立ち上がるとその後をつけていく。どうやら彼女がシルビアであるらしい。
そして、解説では彼女は6年前に見かけた女性ということである。彼女に声をかけるも素っ気なくされ、実は人違いであるかのような反応をされる。

翌朝、路面電車の駅で座って人々を観察する男、路面電車のガラスに映る様々な人々の顔、写り込むポスターや景色が入れ替わっていく。こちらはオープンカフェのウィンドウと違って横に流れていくとまた次の画面が入れ替わる。

まさに感性の映画である。この感受性の鋭さを楽しめるほど私は感性が繊細で細かくないらしい。美しいと思うが、退屈である。

そして映画はすっと終わってタイトルになる。なんとも映像詩のごとくでもない。いわゆる映像それ自体がモダンアートなのである。それが90分近くの映画というメディアになっている。そう解釈すべき作品なのだと思う。