「シンプル・シモン」
これは楽しい、こういうファンタジーラブストーリーの描き方もあるんだと、終始スクリーンに引き込まれてしまいました。
タイトルが始まると、軽いタッチの音楽に、宇宙をイメージしたようなアニメーション、時折、単調にドラムをたたく主人公シモンのカットが入る。
主人公シモンはアスペルガー症候群といって、決まった時間に決まったことを決まった人が寸分違わず行わないときがすまない。丸いものしか受け入れず、常に秒単位で行動している。
彼がドラム缶の宇宙船に乗って、宇宙をさまよい地球を見下ろしているシーンから物語が幕を開ける。実は、両親の家で、ドラム缶の中にこもってしまったシモン。父が、穴から、お金を入れながらでてくるように説得するが答えない。仕方なく、恋人と住んでいる兄サムに連絡。サムは宇宙交信のようにドラム缶の中のシモンに話しかけ、それでもだめなので、自分の家に彼を連れていく。
そして、サムとシモン、サムの恋人フリーダと三人暮らしを始めるが、フリーダはシモンの行動に耐えきれずでていってしまう。戸惑うシモンは、サムに恋人を見つけるべく、まるで方程式のように理論的な相手を捜し始める。
コミカルなのだが、どこかほほえましいほどにピュアなシモンに、どんどん引き込まれるのがここからである。
サムと性格や趣味が一致する恋人のリストを見せるが、恋というのは磁石のプラスとマイナスがベストだと言われ、シモンは、以前、道でぶつかって知り合ったイェニファーに近づく。そして彼女がサムにベストの正反対の女性と考え、イェニファーとサムを恋人にするべく、大切なドラムセットを売り、ヒュー・グラント主演のラブストーリーを買い込み、花火を準備しと、セッティングを始める。
シモンがイェニファーと親しくなり、イェニファーの家に招かれたシモンが、そこで、徐々に自分の症状が崩れるあたりの展開を、リズミカルな音楽に乗せて描く下りが実に見事である。
そして、セッティングしたものの、恋とはそう簡単なものではなく、イェニファーは友達としてならと言うことでサムと別れる。自分の計算通りにならなかったシモンはパニックになり、再びドラム缶にこもるが、そこへやってきたのはイェニファー。そして、ふつうにシモンに接し、好きな人はあなたよと告げる。黙って二人にするサム。エンディング。
物語の成り行きはおそらく予想がつくことであるが、音楽センスが抜群にいいために、中盤から映画が音楽に乗って踊り出す。シモンの仕事場の同僚たちも、バイオリンを弾いたり、バス運転手が、料理をセッティングしたり、花火を打ち上げたりする協力場面もほのぼのしてるし、なんせ、終始クールな顔立ちで、淡々と自分の計算通りの行動でサムに為に必死になるシモンの姿が本当に切ないのです。
現代では短い部類の90分ほどの作品ですが、コンパクトにまとめられた、一風変わったラブストーリー、いやラブコメディだった気がします。ちなみに、映画の中で、サムもシモンもラブコメを嫌っているという設定も粋ですね。
「ヒトラー最終兵器」
完全な,B級アクションホラーである。
第二次大戦末期、ドコロフ率いるロシアの精鋭部隊が、東武線線で、ナチス軍を買う蘭しているシーンから始まる。
ところが、彼らは、ナチスに捕まってしまい、謎の地下施設につれていかれる。そこでは、ゾンビソルジャーという最強兵士を作る研究が行われているところだった。そこで、ドコロフらは、その施設破壊のために、ゾンビ兵士たちとバトルを繰り返していく。
やたら、怪力で格闘能力のある主人公ドコロフらが、ゾンビのような化け物兵士をものともせずに戦う爽快感が売りの映画で、これというストーリーのおもしろさもなく、この手のB級映画を見るときのつっこみシーンもない、結構まじめな作りの作品だった。
結局、施設内のナチスをすべて殺し、外にいた、ゾンビを猟犬のようにつれているナチス将校も倒し、つれていたゾンビを背中に担いで悠々と帰る。
時は現代に移り、バーカウンターで昔話をする老いたドコロフの所へ、一人の男が話を聞きにきてエンディング。
よくあるストーリー構成と、よくある破天荒な題材の物語だが、まじめすぎる一本。という感じのB級映画でした。