吉本ばななの原作を映画化した作品で、原作の味ゆえか、ほのぼのした落ち着いた作品である。監督は豊島圭介。
主人公まりが都会のネオンにたたずむショットから一転して、ふるさとの土肥の町にもどってくる。
幼なじみとふざけあい、この寂れた港町でかき氷屋を始める。そこへ、母の友達の娘はじめがやってくる。
顔に痣があるはじめだが、おばちゃんを看取ってから、心の傷をいやすためにこの町にやってきた。そして、まりと一緒にかき氷屋をやりながら、人々が去っていく町での毎日を送る。というのが本編。
何の事件が起こるわけでもなく、やがて、はじめがアフリカの恋人に会うために町を離れる日がきて映画は終わる。
たわいないが、静かで淡々としたドラマは、一種のはやりみたいなところがあるが、なにかもう一歩映画として弱いのが心残り。
原作の味はでているし、演じている二人の女性もいいムードを作っている。でも何か足りない気がするのはなんだろうか。決して、凡作までいかないのだが、ちょっと、もうちょっと味付けがほしかった気がする。