2014-01-01から1年間の記事一覧
「砂の器」 30年ぶりだろうか、見直す機会に出くわす。午前10時の映画祭である。本当に大作の貫禄十分な名作と呼べる一本だと改めて感じいった。初めてみたときは、相当長く感じたが、結婚もし、家族を持って初めて理解し得る感情がこの作品にはあることに気…
「最後の命」 中村文則原作の話題の映画だが、原作の弱さか、脚本の弱さか、独りよがりの展開と演出に終始したために、全体がとってもわかりづらいしんどい映画に仕上がったという感じだった。もちろん、物語が全くわからないわけではないが、心理描写がうま…
「ヘラクレス」 ここにきてなんでこの手のコスチューム映画なのかという感じだが、まぁ、気楽に見るにはこれで良いかなという一本だった。監督はブレッド・ラトナー、主演はドウェイン・ジョンソン。これという目玉もない映画である。物語は、ギリシャ神話で…
全編脳天気に突っ走る台湾コメディの佳作。とにかく、何の中身もうんちくも、こった設定も台本のおもしろさもないはずなのに、二時間半ほどが全く退屈せずにラストシーンまで楽しんでしまう。この、魅力はどこにあるのだろうかと、見終わってから思い返して…
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」 スティーヴン・スピルバーグ制作、ラッセ・ハルストレム監督、ヘレン・ミレン主演という豪華メンバーで、ミニシアターにかかってしまうというのは、本当に時の流れを感じさせる。映画は、本当に灰汁のない、優しい作品…
ほぼ30年ほど前に、旅行の帰り、東京の名画座で見て以来のスクリーンでの鑑賞だが、なんとも、これほどの作品だったとは、と再認識した次第である。カットのつなぎのうまさとテンポの作り方の見事さ、ストーリーの構成のうまさ、そしてラストの処理の見事さ…
「エクスペンダブルズ3ワールドミッション」 往年のアクションスターが一同に集まる、いわばシルバー人材センター的なアクション大作であるが、まぁ、気楽に派手な映画を楽しむにはもってこいのシリーズである。といっても、ストーリーこそ単純で、やたら爆…
エドガー・ライト一門でレギュラー出演のニック・フロストが原案、主演を行った一本。非常にシンプルなストーリーでありきたりだが、飽きずに最後まで楽しむことができました。少年時代に、サルサで次々と大会で優勝した主人公ブルース、最後の全国大会の直…
「トム・アット・ザ・ファーム」 サイコサスペンスといえる一本で、全編不気味さと緊張感が漂う映画だった。監督はグザヴィエ・ドランである。友人で恋人だったギヨームの葬儀にでるべく、田園の中を車をとばしている主人公トムのシーンから映画が始まる。バ…
「わが青春に悔いなし」 黒澤明監督作品はすべてスクリーンでみているが、その30本の中でもっとも好きな映画がこの作品である。「かえりみて悔いのない生活」というつぶやきをラストシーンに、もってきた反戦社会派ドラマであるが、娯楽映画の巨匠として確固…
「あした来る人」 川島雄三監督作品ということで、はるばるシネ・ピピアへ。うん、やっぱり川島雄三の映像のリズムというかテンポはとっても都会的でしゃれている。その最たるシーンが、克平行きつけの「山小屋」というカフェのシーン。軽い音楽のリズムが流…
「マルタのことづけ」 一見、どこにでもある物語なのだが、不思議な感動を生み出してくれる。そこにあるものは、心に直接訴えかける主人公マルタのひたむきな最後の生き方なのかもしれません。物語は、一人の少女クラウディガがベッドで目覚め、おもむろにシ…
さすがに、アントワン・フークワ監督、めちゃめちゃ面白かった。デンゼル・ワシントン、かっこいいし、ちょっと太り気味ですが、クロエ・グレース・モレッツ存在感抜群。始まってからラストシーンまで、目を離せない面白さでした。一言で言えば、「レオン」…
典型的な香港映画、次々と即興で展開していくストーリーに、あれよあれよと引き込まれて、クライマックスは、例によって派手な銃撃戦の末に、男のロマンで敵も味方も死んでしまって大団円。香港ノワールのお手本のような映画でした。本来、ハル・ベリー主演…
「ウィークエンドはパリで」 まったく、外国映画は老夫婦を扱っても、なんでこうも洒落た作品が作れるのだろう。この映画も、倦怠期の老夫婦のお話だが、実に気の利いた映画なのである。監督はロジャー・ミッシェルである。映画は、パリに向かう列車のシーン…
ラース・フォン・トリアー監督が次に選んだテーマは、女性の性である。過激なし描写を売り文句にした二部構成の第一部を見に行きました。さすがに、しんどかった。映画が始まると、レンガで囲まれた路地。雪が降り、溶けた水が滴り、ハードロックのようなメ…
「グレース・オブ・モナコ 王妃の切り札」 ネットなどでは非常に評判が悪いので、どんなものかと思って見に行ったが、思いの外、いい映画だった気がします。なんと言っても、カメラワークが実に美しい。華麗な王宮を捉えるシーンでは流麗に、人物描写のドラ…
「地上より永遠に」 言うまでもなく、フレッド・ジンネマン監督の代表作で、渚でにバート・ランカスターとデボラ・カーのラブシーンが有名な作品。なんと。何十年ぶりかで見直すことになった。物語は、日本軍の真珠湾攻撃をクライマックスに、ハワイオアフ島…
「ラスト・センデンス 死者への裁き」 スウェーデン映画祭の一本、監督はヤーン・トロエルという人である。 非常に、良質な作品ですが、いかんせん眠かった。 オープニングタイトルバックの、水に流れる枯葉のカメラ映像が、恐ろしいほどに美しい。水の透明…
「ミリオンダラー・アーム」 インド人初のメジャーリーガーを育てた、JB・バーンスタインの実話を基にした作品だが、本当になんの変哲もない、ストレートな人間ドラマだった。平凡といえば、そうなのだが、よくある展開を、よくあるタイミングで配置したオ…
「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」 クロエ・グレース・モレッツを見るためだけに出かけたような映画であるから、彼女が見れればそれでいいというものである。少しずつ大人になっていくクロエ・グレース・モレッツだが、まだまだ可愛らしさ、キュートさが…
「近キョリ恋愛」 「君に届け」がなかなかの佳作なので、ちょっと期待している熊澤尚人監督作品だったが、さすがに、俳優陣が下手くそすぎて、まったくはいりこみきれなかった。つまり、「君に届け」が、ちょっとした映画だったのは、演技者、特に、脇役が良…
下ネタ満載で突っ走るオーソドックスな西部劇、という感じで、やたら下品なサプライズギャグが飛び出してくる。その笑いのセンスのなさは、正直辟易としてくるし、あまりにも陳腐。たしかに、古きB級西部劇はこんな感じだったが、それとこれは違うと思う。…
「シュトルム・ウント・ドランクッ」 こういう、映像詩のような作品は好きなので見に行ったが、どちらかというと、舞台劇のような作品だった。監督は天井桟敷出身の山田勇男である。赤や青を多用した照明演出を施しているが、これは映画ではなく舞台の演出に…
「不機嫌なママにメルシィ!」 「イヴ・サンローラン」のギヨーム・ガリエンヌが、自らの自伝的な物語を、主演、監督をこなした作品。非常に、個性的な構成で描いていくが、どこかまとまり辛さがあり、導入部からイマイチ入り込めなかった。映画は開演5分前…
「マザー MOTHER」 謀図かずおが監督をしたいわば自伝的な映画であるが、そこはやはり謀図かずお、ホラー味満点である。しかしながら、前半はかなり間延びする。テンポが悪いという感じだが、終盤になり、取材のために女性が五条へ取材に行き、家で少女に振…
「監視者たち」 典型的な韓国アクション映画であるが、こういうのを作らせると本当にうまい。作品としての完成度は非常に低いのだが、ハイテンポで見せるストーリー展開と、細かいカットでつなぐエピソードの組立が本当にスピーディなのだ。ここに、上質な作…
「出発」 イエジー・スコリモフスキ監督の初期作品である。ブリュッセルの町並みを舞台に、ポルシェに乗ってラリーにでることを目指して、奔走する青年の姿を、ある意味、詩的なくらいな映像を駆使して、かけ巡るように描いた秀作。鏡や、ガラス、テクニック…
「柘榴坂の仇討」 それほど期待もしていなかったし、主演の二人はこういうドラマにでているときはあまり好きではないので、不安の中、見にいったのですが、なんと、生真面目に、真摯に、徹底的に正攻法で貫いた演出が、いつの間にか心を打ってしまう作品でし…
川島雄三監督作品を見に出かけた。原作は水上勉である。これがなかなかの名編であった。川島雄三監督というと、絶妙のテンポで物語を運んでいく。そのどこかしこに漂う独特の知的なユーモアが魅力なのだが、なんとも、今回の作品は、かなりのブラックユーモ…