「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2017-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「リヴォルト」「息子の青春」

「リヴォルト」 侵略SF映画であるが、面白いのは「第九地区」と同様南アフリカの映画だということである。謎の異星人に世界中が征服され、異星人が送り込んでくる謎のロボット軍団と戦う人類の姿を描いているが、やはりアメリカ映画とその空気感が違う。それ…

映画感想「しあわせな人生の選択」

「しあわせな人生の選択」 淡々と進むストーリー展開に、静かに伝わってくるさりげない感動が感じられます。難病ものというか、いわゆる、余命いくばくもない主人公の周りに起こるドラマという設定ですが、非常に上品な作風で迫ってくるので、かえってしみじ…

映画感想「ディストピア パンドラの少女」「ドッグ・イート・ドッグ

「ディストピア パンドラの少女」 いわゆるゾンビ映画である。ウィルスのパンデミックで凶暴なハングリーズと化した人類たち。彼らは生肉を貪るゾンビのような存在となっていた。世紀末を舞台に生き残った人々がわずかに抗体を持ったセカンドチルドレンの研…

映画感想「忍びの国」「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」

「忍びの国」 ハイテンポで独創的な演出で見せる殺陣シーンはそれなりに面白いのですが、どこかスケールを感じさせないのはカメラワークが悪いのか。さらに物語のエピソードの配分があまり良くないので、畳み掛けてエンディングに向かうクライマックスが妙に…

映画感想「結婚」

「結婚」 たわいのない映画ですが、原作がそれなりに面白いのでしょう、話としては楽しめる一本でした。ただ、絵作りが非常に薄っぺらくて深みがない上に、キスシーンが汚いのが気になりました。監督は西谷真一です。夕焼けの海辺で一人の男が海に向かって歌…

映画感想「三つの愛」「美わしき歳月」「泉」

「三つの愛」 正直、よくわからない映画だった。物語の中心は口減らしに田舎に奉公に出された郁二郎と発達障害の平太の物語、売れない画家の信之と体の弱い教師の通子の恋物語。そこに地元の八杉神父の過去の妻との別れの物語が絡むのだが、平太の父親はどう…

映画感想「怪談」

「怪談」 かなり以前に見たきりだった小林正樹監督の代表作の一本を見直す。確かにものすごいお金のかかった一級品の作品ですが、やはり長いですね。四つのお話それぞれがメリハリがないという感じで、確かに美術は凄いし、カメラも凄いし、セットは壮大だし…

映画感想「残像」「ありがとう、トニ・エルドマン」

「残像」 アンジェイ・ワイダ監督の遺作となった作品で、ポーランドの芸術家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの晩年の四年間を描いた作品ですが、正直、物語としては退屈だった。もしかしたら監督が自分の死を予感したのかもしれない。広い丘の上で若い学…

映画感想「ジーサンズ はじめての強盗」「ハクソー・リッジ」「いつ

「ジーサンズ はじめての強盗」 古き良き小粋なアメリカンコメディという感じのちょっとした秀作。おそらく脚本がいいのだろう、散りばめられたセリフの数々の面白さと、展開が実にリズミカルで楽しい。オリジナル版は見ていないのだが、ぜひ見たくなる一本…

映画感想「オリーブの樹は呼んでいる」「フィフティ・シェイズ・ダー

「オリーブの樹は呼んでいる」 行先が見えない作品で、ラストシーンに向かって物語が収束していかない中途半端が少し気になる一本。冒頭からラストまで一貫して大好きな祖父のために奔走する主人公アルマの姿を素直に描いていけばとっても素敵なドラマに仕上…

映画感想「リベンジ・リスト」「バウンティ・ハンターズ」

「リベンジ・デイズ」 久しぶりのジョン・トラボルタ作品をと思って見にいったが、さすがに歳をとったね、しかも普通のアクション映画で中身も薄っぺらいし、アクションも秀でたものはないし、まぁ、普通に楽しめる程度の娯楽映画でした。監督はチャック・ラ…

映画感想「ローマ法王になる日まで」「セールスマン」

「ローマ法王になる日まで」 2013年にローマ法王になったフランシスコの半生を描いた実話の物語であるが、真摯に向き合って誠実に綴って行く物語にいつの間にか引き込まれてしまう作品でした。監督はダニエーレ・ルケッティです。一人の年老いた司教ベルゴリ…

映画感想「キング・アーサー」「TAP tHE LAST SHOW」

「キング・アーサー」 めまぐるしいほどのフラッシュバックとデジタル映像のテクニックを駆使した細かい編集で展開するストーリー展開は、冒頭だけならまだしも、ほとんどをその手法で走り抜けたので、物語を理解しにくいままにクライマックスに至った。途中…

映画感想「こどもつかい」「おとなの恋の測り方」

「こどもつかい」 陳腐なホラー映画というレベルの一本で、大劇場で公開するより、ひっそりとビデオ発売したら話題になるような作品だった。なるほどその意味では珍品の面白さがあるかもしれませんが、正直、ありきたりなホラーでした。監督は清水崇。ある街…

映画感想「22年目の告白ー私が殺人犯ですー」「赤いカリーナ」

「22年目の告白 私が殺人犯です」 原案の韓国映画「殺人の告白」は韓国映画らしい幼稚さはあったものの突っ走るようなストーリー展開で一気にラストまで走り抜けるバイタリティのある作品でした。今回、日本映画になって、クオリティは抜群にアップした上に…

映画感想「怪物はささやく」「パトリオット・デイ」

「怪物はささやく」 とってもファンタジックで美しい映像に酔いしれてしまう一本。オープニングの美しいタイトルバックから、主人公のコナーが、とある教会の周りの地面が崩れて母親を落とすまいと必死になる悪夢のシーンまで一気に引き込んでくれます。監督…

映画感想「ザ・ダンサー」「昼顔」(上戸彩主演版)

「ザ・ダンサー」 モダンダンスの先駆者と言われるロイ・フラーの半生を描いた作品で、とにかく美しいのはそのダンスシーンである。もちろん実話なので、実際ああいったものだったのだろうが、カメラは真正面から素の状態でじっと捉える。まるで蝶が舞い、花…

映画感想「灰色の石の中で」「長い見送り」

「灰色の石の中で」 非常に絵作りの美しい映画で、淡い緑や黄色の色彩を中心に、綺麗に配置された構図で描かれるスタンダードな画面がとっても素敵なのです。ただ、作風は非常にシュールな形で、物語はあるものの、どこか抽象的に訴えるような演習が見られま…

映画感想「自由はパラダイス」「海辺のリア」

「自由はパラダイス」 ヌーベルバーグを思わせるような画面作りが特徴の作品で、これというお話があるではなく、一人の少年が、父親のもとに行きたくて、少年院の脱走を繰り返していくロードムービーである。監督はセルゲイ・ボロゾフである。少年院から一人…

映画感想「ゴールド 金塊の行方」「20センチュリー・ウーマン」

「ゴールド 金塊の行方」 実話を基にした犯罪サスペンス映画なのですがあ、さすがに展開のリズムが良くないので、終始今ひとつ面白みを感じなかった。いくら実話とはいえ娯楽としての映画なのだから、見せてくれなければいけない。監督はスティーブン・ギャ…

映画感想「ブラッド・ファーザー」「武曲 MUKOKU」

「ブラッド・ファーザー」 できの悪い娘を助けるために、元アウトローの父親が、かつてのサバイバル術を駆使して奮闘し、最後は殺されるものの、娘を助けるというそれだけの映画。こんな新おプルな映画はそれはそれで良いやという一本でした。監督はジャン=…

映画感想「LOGAN ローガン」「花戦さ」

「LOGAN ローガン」 非常に地味なX―MENシリーズという一本でしたが、この手のヒーロー物の晩年を描くというのはどうなんだろうか。人間ドラマとしての仕上がりを目指したのかもしれませんが、今ひとつどう良かったかわかりづらい映画でした。監督はジェーム…

映画感想「BLAME!」「ジェーン・ドウの解剖」

「BLAME!」 日本のSFアニメーションの世界観は本当に凄いと思います。謎で始まって謎で終わる。この不可思議な物語に超一級品のアニメ技術がかぶさってくるから、たとえ凡作でも圧倒的な迫力が生み出されます。物語はというと、なんか、都市が勝手に増殖して…

映画感想「エゴール・ブルイチョフ」「光と影のバラード」「絆」

「エゴール・ブルイチョフ」 ロシア革命の時期を背景に、末期の癌にかかった主人公の周りの人々の反応を描いて、当時のロシアの退廃した様子を描いた作品ですが、全体が混沌としていて、いかにもロシア映画という感じの一本。個性は十分感じますが、しんどか…

映画感想「光」「光をくれた人」「映画 夜空はいつも最高密度の青色

「光」 最近の河瀬直美監督作品の中では一番気持ちが入り込めた一本。クローズアップを多用したカメラワークに最初は戸惑うが、時にはなれた手持ちカメラの動きのある映像や大きく景色を取り入れたインサートカットなどを挿入したリズムづくりがなかなか楽し…

映画感想「家族はつらいよ2」「ちょっと今から仕事やめてくる」「美

「家族はつらいよ2」 さすがにこれほどの脚本がかけて、ここまで職人技のような演出ができる監督は、現在山田洋次を置いて他にいないだろう。それほど非常に練りこまれたセリフの数々と、さりげない細やかな演出が見せる絶妙のホームドラマだった。できれば…

映画感想「台北ストーリー」「ワッサ」「テーマ 田舎の出会い」「白

「台北ストーリー」(デジタルマスター) 時代が変わりつつある台北を舞台に描かれる一組の夫婦の物語。端正な映像で淡々と語られる物語には、不思議なくらいの空気が漂う。これがエドワード・ヤン監督の世界である。アパートの一室を見にきたアリョンとアジン…

映画感想「春婦伝」「殺しの烙印」「けんかえれじい」

「春婦伝」 第二次大戦中中国に派遣された娼婦と現地の将校の物語を描いた恋物語ですが、なんとも鈴木清順監督の描く女はどうもいただけません。しつこいほどに感情表現がい大げさだし、うっとうしいほどにめんどうです。この作品については本来の美学もそれ…

映画感想「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」「娘よ」

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」 やはり、ヒーロー物はアメリカ映画か日本映画がうまいなと思います。確かに、設定も展開もそれなりに見れるのですが、いくらダークヒーローとはいえ、かっこよさのメリハリが見えないし、ヒロインが今ひとつ魅力がなくていつ…

映画感想「アンタッチャブル」「夜に生きる」

「アンタッチャブル」 初めて見たときはとにかく面白いという印象だけが心に残ったが、今回久しぶりに見直して、これほどきめ細かく書かれた脚本だったかと改めて感心してしまいました。監督はブライアン・デ・パルマです。オープニングのタイトルバックから…