「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「宮廷画家ゴヤは見た」

宮廷画家ゴヤは見た

アマデウス」の巨匠ミロス・フォアマン監督の「宮廷画家ゴヤは見た」を見てきました。
さすがに、見ごたえのある重厚な作品で、冒頭のタイトルバックの版画絵から一気に18世紀スペインの時代に引き込まれていきます。

もちろんゴヤはあの有名な「裸のマハ」「着衣のマハ」で有名な大芸術家、そして宮廷お抱えの画家でもあります。その対照的な存在として登場するのが「ノーカントリー」で個性的な悪役を演じたバビエル・バルデム扮するロレンソ神父。さらに一点可憐な少女を演じるのがナタリー・ポートマン

このキャストの取り合わせの豪華さその演技力のぶつかり合いもこの作品の見所のひとつになります。

誠実そのもののゴヤの存在と権力にまみれて、野心のみに走るロレンソ神父の存在、さらに、数奇な運命から波乱の人生に転がり落ちていく可憐そのものの少女イネス、背後にフランス革命、ナポレオン侵攻、イタリア王政の揺らぎなどのヨーロッパの歴史も丁寧に織り込まれるフォアマンの演出はさすがと思わせられます。

人物描写もさることながら、一方で頂点に立つゴヤが手がける風刺版画の作成現場のカメラワークの見事さ。じっくりと人間ドラマを描く一方で、細かい演出で的確にゴヤの社会批判を織り込むとともに、イネスのあまりのも哀れな人生は見ているだけで、いつの間にか感情移入してしまいました。

それにしてもバビエル・バルデムという人本当にすごい俳優さんですね。登場人物そのままになりきって、心の動きが手に取るように豹変させていきます。
一方のナタリー・ポートマンもいまだに本当にかわいらしい。「レオン」から続く彼女の存在感としっかりした演技力は、本当に惹かれる魅力があります。

質の高い映画とはこのことですね。