「シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語」
上戸彩ちゃんが宣伝してるし、ジェームズ・キャメロン監修ということもあり見に行きました。
監督はアンドリュー・アダムソン、物語はシンプルで一人の女性がサーカスの曲芸士を追って不思議な世界にはまりこむ。そしてその男性と結ばれるという物語。
奇想天外なセットと不思議世界の色彩演出、驚異的なパフォーマンスで見せるシルクの世界をカメラがとらえていく。ドキュメンタリーではなくあくまでシルクの世界を追っていく映像になっている。
3Dが売りであるが、時に驚くほどの効果をもたらしているものの、やはりリアルな舞台をみるのとは別物である。それなりにファンタジーの世界にはまりこんでしまうものの、優れたドキュメント映画とはひと味違う不思議な世界に取り込まれてしまう陶酔感はこれはこれで楽しい一本でした。
「悪の教典」
貴志祐介の原作のファンでもあるので不安でもあったけども三池崇史監督のファンでもあるので、期待半分で見に行きましたが、なんとなんと素直におもしろかった。
原作の味をほとんど残しながらの映像づくりは、もう少し映画としてはじけても良かったかなと思わなくもありませんが、主人公のキャラクターの描き方、前半の不気味なムードから一転した後半の殺戮シーンとのバランスも絶妙で見せてくれました。文化祭の飾り付けの中でのサイケでりっくな舞台装置も三池監督ならではで絶妙でした。
ただ、原作にあるおどろおどろした怖さや主人公がその知能の面で天才的であるというシャープさは上映時間的に描写するには無理があったのだと思う。さらに、性的なカリスマ性もオブラートに包まれている。原作では女子高生との性関係のシーンはかなり露骨だがさすがにそこは省略されている。
同僚の先生や生徒たちを巧みに操っていくというマインドコントロールする怖さは原作ほどの迫力はないがその分ジャズの音楽が頭に鳴り響く様を露骨に見せたり、幻影が現れたりするシーンで補完、原作ほどではないもののかろうじて原作の味を残せたと思う。
原作では主人公が後半まで悪者として露骨に描かれないのだが、さすがに映画ではその宣伝ですでに悪人として写されているから、そのミステリアスなおもしろさはないが、そこは仕方ないところだろう。
エンディングも原作を守りつつ、次へつなぐ遊びまで取り込んでぶきみなラストシーンを残す。ややシャープさが弱いがこれで十分だと思う。
期待以上ではないものの、期待はずれではなかった。楽しめる一本でした。